3月2日、講師に小平 努氏(株式会社アルビオン白神研究所 所長)をお招きし、「藤里町 世界自然遺産 白神山地の麓におけるアルビオンの取り組み」と題して貴重なお話を伺いました。
厳選された天然素材と水にこだわり、安心・安全でお肌にやさしい化粧品づくりを行ってきた高級化粧品ブランド「アルビオン」は、テレビCMも行わず、県内では9店舗の専門店と西武百貨店のみでのお肌の診断やカウンセリングによる対面販売にこだわった形態のため、一般的には馴染みの薄いという方もおられるかも知れません。
白神山地の豊かな自然と水に着目して、廃園となった保育園を譲り受け平成22年に「アルビオン白神研究所」を設立、ヨモギなど白神の麓で育った天然素材と超軟水で良質な水にこだわった研究開発を行っています。
銀座に本社を構え、東日本橋・横浜・沖縄・スリランカにも研究拠点を設けてはおりますが、「ここ白神でしかできない研究」に16名のスタッフが日夜勤しんでいます。
藤里町の各地に広大な自社農場を設けて、化粧品原料として供給している12種の植物の他、試験栽培中の約40種の植物が有機栽培(有機JASの認定も取得)で丹念に育てられています。
中でも、白神で育ったヨモギは自社だけでなくフランスにも化粧品原料として輸出され、某世界的ブランドの化粧水にも採用されているとか…。
また藤里町で栽培されてきたヤマブドウ(ヤマソービニオン)が近年は後継者難のため存続の危機にありましたが、化粧品の原料として栽培を継承し、ブドウの種子に化粧水としての可能性を追求、更に果汁を採取してワイン製造にも取り組み、「抽出研究棟・ALBION Shirakami Vineyard & Winery(ヴィンヤード&ワイナリー)」では、化粧品原料としての研究に加えてワイナリーも併設、「白神山地ワイン」の醸造も行っています。
また県内の主に農業高校からの採用にも積極的で、地元の雇用にも大きな役割を果たしており、今後も研究規模拡大を目指して更なるスタッフ増員も視野に入れているとのこと。
雇用面だけでなく、社を上げての地域貢献にも積極的に取り組んでいます。
同社は「あきたSDGsアワード2022」を受賞、研究所の電力を水力発電で賄い、有機栽培にこだわるなど自然環境を極力損なわないこれらの研究・栽培活動は、「SDGs」が国連で打ち出される以前から、その理念にも適った取り組みといえます。
度々「男性用の商品はないの?」と尋ねられるそうですが、そもそも同社の商品は「女性用」とうたっているわけではなく、お肌の健康には男女問わないのだそうです。
地元・白神山地の水や自然から、美容やお肌の健康に大きな効果が見込まれることで世界に通用するブランドとして更なる飛躍を目指して、更には“こころ”の健康や癒やしにもつながる役割を果たしていきたいという貴重なお話でした。
参加者との質疑応答でも活発なやり取りとなり、有意義な時間となりました。
「アルビオン白神研究所」については、こちらもご参照ください。
https://www.shirakami.albion.co.jp/
セミナー終了後、当会の令和7年度総会を行いました。
昨年度の活動報告と収支決算、今年度の活動計画と予算案が承認され、会の活動にも貴重なご意見が寄せられました。
今後とも当会の活動にご参加ご協力を、何卒よろしくお願い申し上げます。
11月30日、「ビハーラセミナー」が行われました。
この度は市川晋一先生(仙北市西明寺・桧木内診療所所長)をお招きし「僕は村のお医者さん ~最先端のへき地の診療について~」と題して貴重なお話を伺いました。
始めに、先生が一昨年受賞された「第10回 日本医師会赤ひげ大賞」のドキュメンタリー番組と、NHKで放送された仙北市での「医療Maas」の様子が動画で紹介され、長年地域に根ざした医療活動、そして医療機器やオンライン機器を搭載したワゴン車により広大で過疎化が進む仙北市西木地区の主に高齢者を対象とした先駆的な取り組みを拝見しました。
兵庫県姫路市出身の市川先生は秋田大学医学部に入学、医師免許を取得され「自分を医者にしてくれた秋田に恩返しを」との思いから、秋田に骨を埋めるつもりで地域医療に邁進されます。
仙北組合総合病院泌尿器科科長を経て、2000年から西明寺診療所所長として(後に桧木内診療所所長も兼任)、過疎化が進む同地区の、特に高齢者にとっては心の支えとなる絶大な信頼を得られます。
この診療所での診察に当たって、「頭のてっぺんからつま先まで、何でも診ないといけない」とおっしゃいます。いわゆる「かかりつけ医」としてあらゆる症状への初期診断を施し、必要に応じて専門科に繋ぐこともありますが、慢性的な症状を抱えた高齢者とは家族ぐるみでのお付き合いを長年続けてこられました。
通常の診療に加え、広大な面積の旧西木村で雨の日も雪の日も各家庭に足を運んでの訪問診療は困難も多いと思われますが、そんなお姿が前述の赤ひげ大賞はじめ、多くの医学界での受賞・表彰につながったものと思われます。
末期の患者さんには「家族や友人と最期の時間を過ごしたい」という願望を持たれる方は多いのですが、コロナ禍では入院中の家族との接触も制限される中、以前からの充実した在宅医療の体制により数日だけでも自宅に帰られる患者さんとご家族から「自宅で看取れて本当によかった。迅速な対応に感謝します」との声が寄せられたことは特筆すべきです。
また近年取り組まれている「医療Maas」では、看護師が医療機器を搭載して訪問する高齢者と診療所をオンラインでつなぎ、画面越しとはいえ対面で診断、患者との対話を行っています。
車輌代と機器類で一台3千万円を越える移動診療車はまだ全国でも事例は少ないものの、「仙北市が一番上手に運用している」とトヨタからもお褒めの言葉をいただいたとのこと。
診療そのものも大事ですが、患者の孤立化・孤独化を防ぐことや家族と医療側の負担軽減、ひいては市民の幸福度向上にも目を向け、医学生や研修医にも門戸を開いて在宅医療の人材育成にも熱心なようです。
その時々の診療からリハビリ的・予防的アプローチの両面も含めた患者さんへの全人的な対応、家族とのコミュニケーション、多職種連携による社会・地域資源の活用とチーム医療、更には地域づくり全般に至るまで視野に入れた先生の姿勢に、多くの参加者が深い感銘を受けておられたようです。
この日は当会会員はもとより、会場の北秋田市内外から行政職員や保健師、議員、また先生の患者さんであった方など多数お見えになり、熱のこもったセミナーとなりました。
会場のコムコムは土日だと各種行事も多く、この日もほぼ満室…
もっと大きな部屋が取れたらと思ったんですが、ご来場の皆さんには少々きゅうくつな思いをさせてしまい申し訳ございません。
ご多用の中、遠路お越しいただき貴重なご講義をいただいた市川先生、またご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
【ビハーラCafe with 北秋田虹の会】
9月26日、標記の企画が行われました。
主にがん患者さんを対象としたサロンを毎月開催している北秋田虹の会(代表:吉田みどりさん)とのコラボ企画第4弾、ここ数年と同様に北欧の杜公園にて開催しました。
始めに北秋田市保健センターの今井保健師さんより「ミュージックケア」、リズムに合わせて手や指、足腰を使った軽い運動で体をほぐしたり、参加者一同が息を合わせて大きな風呂敷でボールを扱ったり…等々のプログラムを行いリラックス!
続いてギター伴奏に合わせて懐かしのメロディを口ずさんだり、終わって会場でドリップしたコーヒーをいただきながら様々な話題で盛り上がったりと、心身共にリフレッシュするひとときとなりました。