2024 3/14

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珠洲市に入って、応急処置済みとはいえ起伏や凹凸が激しい道路を抜け、全壊と聞いていたとある寺院へ。2ヶ月以上経過しながらほぼ手つかずといった光景に、ただただ胸が痛みます。
珠洲市社協および災害ボランティアセンターに立ち寄ると、昨年の秋田豪雨災害でもご尽力いただいたBIG UP石巻代表の阿部さんとご対面、藤里町社協から陣中見舞いとして預かった「白神まいたけキッシュ」等の詰め合わせを珠洲市社協の塩井事務局長にお届け、現地事情を伺いました。
前日、門前でもニアミスの秋田県キッチンカー協会ご一行は「道の駅すずなり」で300食のきりたんぽ炊き出しだそうで、我々が到着時には既に道の駅を発った模様、同じきりたんぽでもプロの皆さんがどんな感じで提供されているのか参考にしたかったのですが、結局2日間とも炊き出しの現場は見れずじまい…。

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その後、炊き出し会場の大谷小中学校へ、市の中心部から半島先端の裏側である大谷地区へ向かうには、国道が通れず迂回路がけっこうな山道、午後8時以降は夜間工事で通行止めとなるため早めの撤収と帰路に就くことが必要です。
同校に到着、提供場所を確認すると「ランチルーム」で住民が揃って食するスタイル。日頃は同避難所で調理担当の加藤さん(近隣でレストランを営む)に水回りや使用可能な機材等を確認。当初100食程度と聞いていたがこの日の避難所在籍者は37名、近隣の集会所などから集まる住民もいるので最大60食程度でいいのではとのこと。
通常は夕食が午後6時提供開始だが、夜間工事の通行止めを気にかけてくれて午後5時30分提供開始、最初はご高齢の方や子供達から順次サービス、徐々にお勤め帰りの方などもテーブルに。
ここでもきりたんぽは「初めて食べた」という方がほとんど、多めに作っていたが約20名以上の方がおかわりを希望、ほぼ残さず召し上がっていただきました。
また「いぶりがっこ」も概ね好評で、多くの方から「おいしかった」との言葉をいただきました。

学校の避難所といっても、前日の各教室で食べるスタイルとこちらのように老若男女が大勢で食するスタイルと、それぞれ一長一短があります。衛生面への配慮やプライバシー確保も重要ですが、アットホームな雰囲気とワイワイガヤガヤと食事することでの精神衛生上のメリットもまた大きいと思われます。
急遽使わずに残した業務用真空パックの「比内地鶏」は、加藤さんが「野菜類のストックはあるが肉類は調達が難しいのでありがたい。明日以降のメニューで使います」とのこと、片付けを終えて同校を出発しました。

珠洲市は地震被害も甚大ですが、広くて奥が深い能登半島の先端のまちでアクセスの困難さから支援の手が伸びにくいというのも、実際に走ってみて感じます。
スケジュールの都合上、短時間での滞在でしたが機会を見て珠洲市にもまた足を運びたいと考えております。

4月以降も微力ながら支援の一端に加わっていきたいと思っています。
関係各位の皆様、今後ともよろしくお願い申し上げます。


赤い羽根「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」(ボラサポ)の助成金により活動しています。
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2024 3/13

お彼岸前の3月12~14日、今回の地震で3度目の能登入り。今回もきりたんぽ炊き出し行ってまいりました!
東京・埼玉から参加の浅野幸子氏、高橋康次郎親子と合流、一路門前へ。今回もシャンティ国際ボランティア会が拠点とする禅の里交流館でお世話になります。
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総持寺祖院門前通りにある洋品店・シモグチに寄り道、店主は門前町観光協会会長として、地域の再興に向けてご尽力されているのに加えて、地震発生直後からYouTubeにて門前のリアルな現実を発信されています。
https://www.youtube.com/@SIMOJUGO
現在、今月24日に開催の「雪割草まつり」成功に向けて奔走中、盛会を祈ります。
https://notowajima.jp/info/yukiwarisoumatsuri/

奇遇にも、秋田県キッチンカー協会のメンバーも同じくきりたんぽの炊き出しに!しかもルートまでこの日の門前、翌日の珠洲と同じ行程で、まさか能登で2日連続のきりたんぽかぶり…。飲食のプロの方々の炊き出しには参考になる点も多々あるかと思い、見学に行きたいのはやまやまでしたが提供時間が重なり、我々が担当する門前西小学校避難所へ向かいます。
ここは他団体の炊き出しがあまり来ていないとのこと、ふだん食事係を担当する地元の女性達の顔にも疲労の色が伺えます。
一時は300人ほどの避難者でごった返していたそうですが、二時避難や転居などにより現在は60人ほどが滞在、おかわり分を含めて100食程度を仕込みます。
過去2回のきりたんぽ炊き出しに同行の全国曹洞宗青年会副会長・高柳龍哉師(秋田市)も、既に手慣れた様子で仕込み作業、たいへん心強いです!
今回もきりたんぽには鍋谷うどん謹製の「能代うどん」を、横手市平鹿・國安さん謹製の「いぶりがっこ」をフタ付きカップで添えて…。
午後5時、配食開始。こちらは6,7人分を各教室ごとに運び食するというスタイル、直接食べられる様子は伺えませんでしたが、ひととおり配食が済んで調理係の女性達と一緒に食べながらしばし懇談、ほとんどの方が「きりたんぽは初めて」だったようで、概ね好評でした。
断水の長期化、避難所での食事係担当をいつまで続けるのかといった先の見えない苦悩は深く、それでも明るく振る舞い協力し合っている姿には敬服します。

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翌朝、これまで入口付近で遥拝くらいはしてましたが3度目の門前にして今回、初めて総持寺祖院の内部までしっかりお参りさせていただきました。
高島副監院さんより丁寧にご案内いただき、中庭にある両手を拡げても届かないくらいの大きな石の句碑が、地震で180°回転したとのこと。あまりに見事な?半回転で、もともとこういう配置だったのかと思うくらい…。
今回の被害の状況と、前回の地震からの再建で行った、曳家の技術を用いた太祖堂、仏殿や山門の修復と耐震補強により、今回の地震で一見被害は甚大ながら主要建物が大規模な損壊にまで至らずに済んだとのこと、また五院輪住制度の背景、祖院や門前町周辺の歴史と文化など、非常に感銘深いお話を伺いました。特に瑩山禅師の霊廟である伝燈院が小規模の破損はあるものの、概ね無事に残っています。祖院を祖院たらしめているのも、この場所があればこそ。
前回の地震からようやく再建して間もない今回の地震に「またかよ…」って気分になりそうなものですが、何年かかっても祖院が再々建されることを期待します。

この日の午後は、初の珠洲市へ。


赤い羽根「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」(ボラサポ)の助成金により活動しています。
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2024 3/3

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3月3日(日)、当会の令和6年度総会ならびにセミナーを行いました。

今回のセミナーは「能登半島地震支援活動報告会」と題して、1月・2月と二度にわたって能登半島地震で被災した地域にて「きりたんぽ鍋」の炊き出し活動と現地事情について、代表の新川から報告いたしました。

今回の能登半島地震は死者数や被害家屋の軒数だけを見ても、阪神淡路大震災、東日本大震災は別格としても平成以降では屈指の被害規模、しかも半島特有の地理的条件とアクセスの困難さ、冬の寒さと雪、度重なる余震、道路の損壊や土砂崩れによる通行止め、長引く断水など悪条件が重なる困窮度合いの高い災害で、マンパワー不足も著しく被災住民の苦悩は想像を絶します。
たしかに秋田から能登は遠く移動時間もかかり、現地入りにも躊躇しましたが昨年の秋田豪雨災害で県外から多くの団体に助けられたこと、そしてその団体の多くが今は能登の最前線で奮闘しており、恩返し・恩送りの意味でも微力ながら彼らの下支えに…との思いから、「きりたんぽ鍋」炊き出しを二度敢行しました。

比内地鶏や白神ねぎ、藤里町産のマイタケ・セリ、白神山水など、こだわりの秋田産食材を揃え1月24日に秋田を出発、「最強寒波」襲来の中、時折雪と強風に見舞われ富山県高岡市に到着、宿泊。
翌朝は氷見市(同市も今回の地震で建物被害が甚大ながら多くの商店が通常営業)にて給油と最終の買い出しを経て石川県へ。七尾市街から徐々に、地震の爪痕が感じられる倒壊した建物が視界に飛び込んできます。
道路の亀裂や崩壊は応急処置済みとはいえ、段差を避け慎重に運転、輪島市門前町に到着。
17年前の能登半島地震から復興した、同地の象徴である「総持寺祖院」は前回の地震より更に大きな被害で、見るも無惨な姿に…。関係者の無念さは如何ばかりでしょうか。
事前からシャンティ国際ボランティア会(昨年は秋田で長期活動)と連携・調整、約80名が滞在中の近くの避難所へ。更に40食を近所の特養スタッフの夕食にお届け。

大人数向けの炊き出しとして、きりたんぽは決してコスパのいいメニューとは言えませんが、一つの器で主食とおかず、汁物を兼ねられ、断水中のため洗い物やゴミを極力出さない点、また地方色を出し、メニューにバリエーションをつけられる(各種団体も工夫を凝らしているものの、類似しがちとのこと)点、昨年の秋田豪雨災害では、県外から多くの団体に秋田県も大いに助けてもらったことから、秋田からの恩返し・恩送りの印に…という思いからのメニュー選定です。
味が濃い、大盛りで渡されても高齢者は食べきれず、残すのも申し訳ないとの声もあり、秋田県民としては少々物足りない?薄めの味付けながら「おいしかった」「地鶏のダシがイイね!」「きりたんぽは初めて食べた。今度秋田にも行きたい」との感想も寄せられ、汁もほとんどの方が残さず召し上がっていただきました。

二度目の実施は2月20日、同じく門前町へ、中学校の避難所では200食、翌日は能登町のOPEN JAPANのベースをお借りして下ごしらえ、3ヶ所で150食のきりたんぽとカップ入りいぶりがっこ、平鹿のりんごを提供、概ね好評をいただきました。

今回、合計350食分のきりたんぽと比内地鶏を無償提供いただいた伊徳様はじめ、多くの食材を無償または格安にてご提供の皆様に、あらためて深く感謝申し上げます。

後半では、シャンティ国際ボランティア会が門前町の孤立集落向けに行っている「入浴・買い物支援タクシー」の様子を記録した動画をご覧いただき、厳しい現地事情に理解を深めていただきました。
映像では「38日ぶりにお風呂入った!」と喜びの声を上げる男性も…
https://www.youtube.com/watch?v=UY3UVMhTkvk

また長期にわたり現地滞在して活動中のシャンティ国際ボランティア会・茅野俊幸副会長より、長引く断水に伴う苦労や孤立集落の問題、また今月には金沢市や加賀市などに二次避難中の被災者が地元に戻ってくることへの苦慮、門前町の名物でもある「雪割草」にちなんだ復興イベントを計画中であることなど、貴重な情報をオンラインでお話しいただきました。
冬の日本海側で起きた大規模災害、秋田県の人間としても人ごととは思えません。引き続き状況を注視し、可能な限りの支援を続けてまいりたいと存じます。

報告会に引き続き、当会の令和6年度総会が行われ、昨年開催の「結成31周年記念公開講座」などの事業報告と決算報告、今年度の事業計画と予算案が協議され、ご承認をいただきました。

本年も当会の活動にご参加ご協力を、何卒よろしくお願い申し上げます。