2015 10/23

『臨床宗教師 ~震災と在宅緩和ケアから学ぶ生死~』
講師:高橋 悦堂 師
 宮城県生まれ。宮城県栗原市・普門寺副住職。駒沢大学出身。
 横浜市鶴見の曹洞宗大本山総持寺にて修行。
 医療の現場で医師・看護師と連携しながら「臨床宗教師」として
 医療従事者とは違う立場で患者さんを支える活動を行っている。

日時:11月21日(土) 午後2:00~4:00 (受付 1:30~)
会場:北秋田市交流センター 第1研修室
参加費:資料代 500円(会員は無料)

この度、上記の通り講師に高橋悦堂師をお招きし、ビハーラセミナーが行われました。

講師:高橋悦堂師

講師:高橋悦堂師

「臨床宗教師」とは、主に末期がんなどの患者さんに寄り添い、医師や看護師と共にチーム医療の一端を担う役割です。特に、死を間近にした不安や恐怖、人生 の意味を問い直す感情を持たれる患者さんの話し相手となり、時には答えの出ない問いに対して共に悩む存在でもあります。決して特定の宗教・宗派の教えを押しつけるのではなく、布教を目的とした活動ではありません。東日本大震災の翌年、東北大学で「臨床宗教師」養成講座がスタートし、末期の患者さん相手のほかに震災被災者、自死を思い悩む人、あるいは自死遺族のこころのケアなど、その対象は幅広いものと考えられています。

「看取り先生」ともいわれ、多くの患者さんの看取りに関わってこられた故・岡部健医師との出会いから、臨床宗教師としての多くを学ばれた高橋師。
「避けることの出来ない死の現実と向き合い苦しむ人がいる場に、何故、宗教者が出てこない!」という岡部先生の言葉は、ビハーラの名を冠した活動に関わる者として胸に響きます。やがて自身のがんが進行し、死を間近にされた岡部先生は「オレの最期をしっかり見届けろ」と高橋師に言われたそうです。平成24年9月に岡部先生は逝去されますが、その意志を受け継いで高橋師は臨床宗教師としての活動をスタートされます。

その活動はNHKの「ETV特集」 でも取り上げられ、今回もその番組の一部が紹介されました。患者さんとの何気ないやり取りから、これまでのお仕事、趣味、奥様との歩みなどを振り返ることで、人生の意味を噛みしめるように絞り出す言葉には、病の苦しさを抱えつつも、どこか安らぎを感じているように思えました。

講演の様子

講演の様子

また安らかな老いや死を迎えるにあたって、地域に根ざした信仰や習俗、自然観などが重要であることも指摘されるなど、私たちの活動にとって大いに共感を覚えると同時に、ビハーラ活動の原点を思い起こしていただいたようなセミナーとなりました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

会場の様子

会場の様子

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2015 10/2

ビハーラカフェ

がん患者と家族のサロン 第7回

お話:「遺された家族の心の支えとなるもの」
講師:中嶋美枝子さん(元・北秋田市民病院看護副部長)
日時:9月26日(土)午後2〜4時
会場:まちなかトーブ様(北秋田市松葉町9-10)

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最初に、中嶋美枝子さんから「遺された家族の心の支えになるもの」と題してお話しいただきました。

今年6月にご主人が胃がんのためご逝去、看病中から看取り、葬儀やその後の一連の出来事を、まだまだ何かと落ち着いていない中でありながらのお話でした。
長年の看護師生活から、治療や看護についてはできるだけのことをしたとのことでしたが、夫婦間・家族間や親戚間で思いに任せぬことも多々ありご苦労されたそうです。そんな時に、友人やご近所の方々、また菩提寺の和尚さんからの何気ない声かけに救われたとのことでした。
何より、娘さんの言葉が時には励ましに、時には癒やしとなってありがたかったとも。

大切な人を見送るということは、医療技術だけでなく、さまざまな人間関係の中でのぬくもりや思いやりがあって成り立つということを、あらためて感じさせてくれるお話でした。

後半ではコーヒーやお菓子をいただきながら、参加者各々に家族を見送った体験やその前後の思いなどを語っていただき、「お仏壇の重要さ」や毎朝のお水・ご飯のお供えなどについてなどの話題でもひとしきり盛り上がりました。