「成年後見制度の理解と活用について ~自分らしい人生を送るために~」
講師:石岡 和志 先生(秋田県社会福祉士会)
少子高齢化や独居者の増加などにより、医療や福祉の現場で、またお葬式やお墓など“死後”の問題に至るまで、高齢者や障害者の意志や尊厳、権利をどのように保っていくかが課題となっています。そこで近年、その重要性が高まっている「成年後見制度」についてお話を伺いました。

そこで本人の判断能力の衰退に応じて、自立した生活を送れるよう援助する様々な制度があります。
「日常生活自立支援事業」もその一つで、本人に契約能力があるがもの忘れがあったり金銭管理に難ありという方向けに、各市町村の社会福祉協議会(以下、社協)との契約で行うものです。
日常的な金銭管理や通帳、印鑑など大切な書類の預かり、福祉サービスの利用手続きなどの生活支援業務です。
そこから更に、認知症高齢者や知的・精神障害のある方など判断能力を著しく、または常態的に欠く場合には「成年後見制度」の申し立てができます。
申し立てができるのは「本人・配偶者・四親等以内の親族・検察官・市町村長等」、近年増加しているのは市町村長、つまりは行政の手による場合が多いようです。
秋田県は全国的に見て成年後見制度の申し立てが少ないようで、これは当地でも見られることですが近くの親戚やご近所さんが身の回りのお世話をしてあげることで、独居の高齢者でも自立した生活をどうにか維持しているというケースが多いものと思われます。しかし人口減少による“地域力”の減退は明らかで、独居高齢者は増加傾向にあり、従来通りのご近所での助け合いが保たれる保証はありません。
一部の人間に負担が集中しないような、社協さんなどによる「法人後見」のような仕組み作りが今後はより必要性を増すことを、あらためて実感するお話でした。
後半では「事例検討」、架空の(画像にある氏名は、あくまで【架空】です!)親子・家族関係の中で起こりうる困りごと、そこでどのように同制度を契約・活用し、課題解決に繋げたかを説明していただきました。
また近年、「成年後見支援センター」を周辺市町村ではいち早く立ち上げ、同制度に取り組んでいる三種町社協のスタッフさんからもこれまでの事例を紹介していただくなど、非常に具体的な意見交換のひとときとなりました。
ご参加いただいた方から、「せっかくこういう制度があるのなら、一般の住民向けにもっと周知徹底すべきだ」とのお声が寄せられ、成年後見制度への理解と重要性が深まったものと感じられました。
今回のセミナーは単に「成年後見制度を学ぶ」というより、同制度を通じて自らの、あるいは大切な人の「生老病死」を見つめ直すことであると、あらためて思います。
たいへん分かりやすく貴重なお話をいただいた石岡先生、またご多用の中ご参加いただき実践の中での事例をご紹介いただいた三種町社協の小松さん、小野さん、また各地の社協関係者やご参加いただいた皆さまに感謝申し上げます。
ありがとうございました。
5月13日、藤里町地域おこし協力隊とのコラボ企画「カフェ寺スwithビハーラカフェ」が、藤里町宝昌寺山門そばにて行われました。コロナ禍で人々の交流が途絶えつつある状況に際して、今年は県北各地の地域密着で行われている中小のカフェ・サロンと連携してみようとの試みで、その第一弾です。
藤里町の地域おこし協力隊によるキッチンカーの協力を得て、昨年から宝昌寺山門そばにて「カフェ寺ス」と称して、密を避けつつ屋外にて住民同士の交流の場が持たれています。
今回は中嶋美枝子・ビハーラ秋田副代表(北秋田市民病院看護副部長)による“あおぞら講話”として、「こころの健康を保つために大切なこと」と題してのお話を伺いました。
コロナ禍やウクライナ情勢などの報道により気が滅入る人々も多い昨今、“こころの健康”を保つために(食事から得られる)栄養・睡眠・呼吸・笑うこと、そして適度な運動といった点を挙げ、それぞれの具体的なポイントについてユーモアを交えながらのお話でした。
「朝起きて 調子いいから 医者に行く」
「インスタ映え 新種のハエかと 孫に聞き」
などの「シルバー川柳」では皆さん大笑いし、ペットボトルを活用したお手製マラカス?で歌に合わせてリズムを取るなどの運動で、楽しく過ごしました。
また家族の介護にまつわる質問や意見交換なども為され、「楽しくためになるお話を聞くことができました」との参加者の感想が聞かれました。
藤里町地域おこし協力隊の関口さんが一杯ずつハンドドリップで淹れるコーヒー、遠路男鹿からお越しの菅原さんから差し入れとしていただいた手作りのマドレーヌなど、どれもおいしいと大好評でした。
お天気が心配でしたが、このカフェ開催の時間帯はどうにか持ってくれて、お昼頃には陽が差し込み、まさに“あおぞら講話”!
軽く汗ばむくらいの初夏のような陽気の中、和やかで有意義なひとときを過ごすことができました。
藤里町内外からご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
【ビハーラセミナー】「再確認!新型コロナとの向き合い方」
お話:奈良医院院長 奈良正人 先生
今年度最初のセミナーが行われました。
当会では長らくご教授いただいており、一昨年の新型コロナ感染初期からYouTube「ビハーラチャンネル」でご指南いただいております奈良先生に、あらためて標記のお題でお話しいただきました。
一昨年暮れにリニューアルとなった奈良医院さんでは、発熱などコロナ疑いのある患者と一般の患者との動線を分けられるようにし、オゾン発生機や診察時のフェイスガード、防護服などの対策を徹底、医師会のガイドライン遵守に努めることで陽性患者がいた場合でも医師や病院スタッフが「濃厚接触者」扱いにならずに済む(=医療活動をストップさせない)ような体勢を整えたそうです。
また早い段階からPCR検査(有料)を実施、112件の検査中2件の陽性者がいたものの大きな混乱を招くことなく、現在は県が各地に設置した無料の検査場があるため、個人病院としてのPCR検査受付は概ねその役割を終えたとも言えます。
長年スポーツドクターでもある先生は秋田県選手団のチームドクターとして、2月17~20日に行われた鹿角冬季国体に関わられました。
オミクロン株が県内でも猛威を振るい、開催には批判的な声も多かった中、無観客で選手もバブル方式というオリパラ並みの徹底した感染対策を取り結果として選手の感染者はゼロ、陽性者は他県の役員一人のみという、ほぼ無傷での開催で終えることができました。関係者一丸となっての予防策が功を奏したことは、今後の各種イベント開催に参考となったことでしょう。
現在はワクチンの3回目接種が行われています。副反応など未だ懐疑的な見方も多いようですが、未接種者の発症リスクはブースター接種者の13倍等のデータもあり、状況が許せば積極的に接種を推奨、特にある時期までは不安視された妊婦への接種もおすすめしますとのことでした。
「コロナ時代を生きる」ポイントとして、
・大会、セミナー等の開催は知恵を絞って
・抵抗力を落とさない(過労やストレス軽減、体力維持、免疫能力アップ)などを心がけること、仮に自身や家族が感染しても家庭内での隔離や手袋を利用してのドアや手すりなどへの接触、使い捨て食器の使用など、ノウハウは蓄積されつつあります。
決してパニックになることなく、周囲で感染またはクラスター発生の事例があっても偏見・差別めいた言動を控えるように、特に医療・福祉関係者が感染した場合でも冷静に、感謝と敬意を持って接したいものだとあらためて思いました。
参加者からも活発な質疑応答がなされ、有意義な機会となりました。
貴重なご教授をいただいた奈良先生には深く感謝申し上げます。