2022 7/15
ビハーラセミナー
「成年後見制度の理解と活用について ~自分らしい人生を送るために~」

講師:石岡 和志 先生(秋田県社会福祉士会)

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この一週間ほど、秋田県内でも“第7波”とも言われる新型コロナの新規陽性者が急増という最中ではありましたが、標記のテーマでビハーラセミナーが行われました。
少子高齢化や独居者の増加などにより、医療や福祉の現場で、またお葬式やお墓など“死後”の問題に至るまで、高齢者や障害者の意志や尊厳、権利をどのように保っていくかが課題となっています。そこで近年、その重要性が高まっている「成年後見制度」についてお話を伺いました。295675107_5321163811308925_2822238443512926615_n介護保険制度が制定されて以降、福祉や介護の現場では「本人の自己決定」や「契約」という要素が求められるようになりました。しかし年を取り、病気や障害を抱えると誰もが妥当な選択や意志決定ができるとは限りません。
そこで本人の判断能力の衰退に応じて、自立した生活を送れるよう援助する様々な制度があります。
「日常生活自立支援事業」もその一つで、本人に契約能力があるがもの忘れがあったり金銭管理に難ありという方向けに、各市町村の社会福祉協議会(以下、社協)との契約で行うものです。
日常的な金銭管理や通帳、印鑑など大切な書類の預かり、福祉サービスの利用手続きなどの生活支援業務です。
そこから更に、認知症高齢者や知的・精神障害のある方など判断能力を著しく、または常態的に欠く場合には「成年後見制度」の申し立てができます。
申し立てができるのは「本人・配偶者・四親等以内の親族・検察官・市町村長等」、近年増加しているのは市町村長、つまりは行政の手による場合が多いようです。
秋田県は全国的に見て成年後見制度の申し立てが少ないようで、これは当地でも見られることですが近くの親戚やご近所さんが身の回りのお世話をしてあげることで、独居の高齢者でも自立した生活をどうにか維持しているというケースが多いものと思われます。しかし人口減少による“地域力”の減退は明らかで、独居高齢者は増加傾向にあり、従来通りのご近所での助け合いが保たれる保証はありません。
一部の人間に負担が集中しないような、社協さんなどによる「法人後見」のような仕組み作りが今後はより必要性を増すことを、あらためて実感するお話でした。
後半では「事例検討」、架空の(画像にある氏名は、あくまで【架空】です!)親子・家族関係の中で起こりうる困りごと、そこでどのように同制度を契約・活用し、課題解決に繋げたかを説明していただきました。
また近年、「成年後見支援センター」を周辺市町村ではいち早く立ち上げ、同制度に取り組んでいる三種町社協のスタッフさんからもこれまでの事例を紹介していただくなど、非常に具体的な意見交換のひとときとなりました。
ご参加いただいた方から、「せっかくこういう制度があるのなら、一般の住民向けにもっと周知徹底すべきだ」とのお声が寄せられ、成年後見制度への理解と重要性が深まったものと感じられました。
今回のセミナーは単に「成年後見制度を学ぶ」というより、同制度を通じて自らの、あるいは大切な人の「生老病死」を見つめ直すことであると、あらためて思います。
たいへん分かりやすく貴重なお話をいただいた石岡先生、またご多用の中ご参加いただき実践の中での事例をご紹介いただいた三種町社協の小松さん、小野さん、また各地の社協関係者やご参加いただいた皆さまに感謝申し上げます。
ありがとうございました。

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