2024 11/30

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11月30日、「ビハーラセミナー」が行われました。
この度は市川晋一先生(仙北市西明寺・桧木内診療所所長)をお招きし「僕は村のお医者さん ~最先端のへき地の診療について~」と題して貴重なお話を伺いました。

始めに、先生が一昨年受賞された「第10回 日本医師会赤ひげ大賞」のドキュメンタリー番組と、NHKで放送された仙北市での「医療Maas」の様子が動画で紹介され、長年地域に根ざした医療活動、そして医療機器やオンライン機器を搭載したワゴン車により広大で過疎化が進む仙北市西木地区の主に高齢者を対象とした先駆的な取り組みを拝見しました。
兵庫県姫路市出身の市川先生は秋田大学医学部に入学、医師免許を取得され「自分を医者にしてくれた秋田に恩返しを」との思いから、秋田に骨を埋めるつもりで地域医療に邁進されます。
仙北組合総合病院泌尿器科科長を経て、2000年から西明寺診療所所長として(後に桧木内診療所所長も兼任)、過疎化が進む同地区の、特に高齢者にとっては心の支えとなる絶大な信頼を得られます。
この診療所での診察に当たって、「頭のてっぺんからつま先まで、何でも診ないといけない」とおっしゃいます。いわゆる「かかりつけ医」としてあらゆる症状への初期診断を施し、必要に応じて専門科に繋ぐこともありますが、慢性的な症状を抱えた高齢者とは家族ぐるみでのお付き合いを長年続けてこられました。
通常の診療に加え、広大な面積の旧西木村で雨の日も雪の日も各家庭に足を運んでの訪問診療は困難も多いと思われますが、そんなお姿が前述の赤ひげ大賞はじめ、多くの医学界での受賞・表彰につながったものと思われます。
末期の患者さんには「家族や友人と最期の時間を過ごしたい」という願望を持たれる方は多いのですが、コロナ禍では入院中の家族との接触も制限される中、以前からの充実した在宅医療の体制により数日だけでも自宅に帰られる患者さんとご家族から「自宅で看取れて本当によかった。迅速な対応に感謝します」との声が寄せられたことは特筆すべきです。
また近年取り組まれている「医療Maas」では、看護師が医療機器を搭載して訪問する高齢者と診療所をオンラインでつなぎ、画面越しとはいえ対面で診断、患者との対話を行っています。
車輌代と機器類で一台3千万円を越える移動診療車はまだ全国でも事例は少ないものの、「仙北市が一番上手に運用している」とトヨタからもお褒めの言葉をいただいたとのこと。
診療そのものも大事ですが、患者の孤立化・孤独化を防ぐことや家族と医療側の負担軽減、ひいては市民の幸福度向上にも目を向け、医学生や研修医にも門戸を開いて在宅医療の人材育成にも熱心なようです。
その時々の診療からリハビリ的・予防的アプローチの両面も含めた患者さんへの全人的な対応、家族とのコミュニケーション、多職種連携による社会・地域資源の活用とチーム医療、更には地域づくり全般に至るまで視野に入れた先生の姿勢に、多くの参加者が深い感銘を受けておられたようです。
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この日は当会会員はもとより、会場の北秋田市内外から行政職員や保健師、議員、また先生の患者さんであった方など多数お見えになり、熱のこもったセミナーとなりました。
会場のコムコムは土日だと各種行事も多く、この日もほぼ満室…
もっと大きな部屋が取れたらと思ったんですが、ご来場の皆さんには少々きゅうくつな思いをさせてしまい申し訳ございません。
ご多用の中、遠路お越しいただき貴重なご講義をいただいた市川先生、またご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
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