2011 3/1

藤里町 宝昌寺住職 新川泰道

当会結成以来、長らくお務めいただいた袴田代表の後任のご指名をいただき、今年度よりビハーラの代表に就かせていただくこととなりました。浅学非才の身でありながら諸先輩方を差し置いて大変僭越ではありますが、精一杯務めさせていただきますので、今後とも会員皆様のご指導ご協力を何卒よろしくお願いいたします。

ビハーラは、仏教の立場から医療や福祉、生老病死に関わる“いのち”の諸問題を考え、実践しようという主旨により今日まで活動を続けてまいりましたが、少子化や過疎化、経済不況など私たちを取り巻く環境は年々厳しくなっておりますことはご承知の通りです。また“無縁社会”との語が飛び交う現状は、都会だけではなく今や地方にも忍び寄りつつあります。お釈迦様が説かれた「縁起」の教えを頂戴している私たちにとっては忸怩たる思いですが、さまざまなご縁の中で生かされていることが実感できる地域や社会であってほしいと願わずにはいられません。

そんな中、近年は活動の停滞や各行事への参加率低下が指摘され、ビハーラの存在意義や魅力も薄らいでいるように思われるかも知れませんが、この会が曲がりなりにも18年間の活動の中で培ってきた積み重ねは、今のような時代にこそ地域や社会が抱える課題に対して、まだまだ力を発する可能性を秘めているものと信じております。

当会ではこれまで、どちらかというと「お寺を飛び出そう!」というベクトルが強かったように思いますが、宗派や個々の寺院の枠を越えつつ、「お寺」が持つ空間や人・もの、歴史的・文化的背景による潜在能力を掘り起こし、真の意味でビハーラの語源でもある「安らぎ」「息ぬき」の場となり得るために、今こそあえて「お寺に還ろう!」というコンセプトで今後の方向性を考えているところです。

同時に、従来の病院や福祉施設での活動はもとより、昨年から実施している「喫茶店での法話・語り合いの会」のような、気軽に仏教やビハーラの考え方に触れてもらう機会も継続していきたいと存じますので、お寺の内外での活動を両輪として充実できればと思います。

宗教離れ・寺離れとの指摘がなされて久しい昨今ですが、それらの現状に対して特効薬はありません。日々の務めを真摯に行い、檀信徒や地域の方々に誠意を持って接することが第一義であることは重々承知のつもりではおりますが、ビハーラという枠組みだからこそ可能な「お寺で元気になる・お寺が元気になる」指針を見出せるよう皆様からお力添えを賜りたく存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。

合掌